単位分数の和

問題

 

太郎君花子さんと先生が、分数の歴史について話をしています。

先 生:古代エジプトでは、すべての分数を$\frac{1}{2}$や$\frac{1}{3}$ のような、分子が1の分数の和で表していたそうです。このような分子が1で分母が2以上の整数である分数のことを、「単位分数」とよびます。

太 郎:すべての分数が単位分数の和で表せるのですか。

先 生:はい、どんな分数でも可能です。ためしに、$\frac{5}{12}$という分数について考えてみましょう。

花 子:$\frac{5}{12}$は$\frac{1}{2}$より小さいから、$\frac{1}{2}$を使って表すことはできません。$\frac{1}{3}$を使ってみると、
$\frac{5}{12}$−$\frac{1}{3}$=$\frac{1}{12}$になるので、$\frac{5}{12}$は$\frac{1}{3}$+$\frac{1}{12}$という組み合わせで表すことができました。

先 生:すばらしいですね。その考え方をフィボナッチの強欲算法といいます。
それはさておき、単位分数の和に直す別の考え方を説明しましょう。今回は分母が12ですから、12の約数をすべて書き出してみてください。

太 郎:12の約数は小さい順に1、2、3、4、6、12です。

先 生:はい。次に、分子が5ですから、書き出した約数の中で、和が5になる組み合わせを作ります。

花 子:1+4=5です。

先 生:分母12に、いまの1と4を分子として和を書けば、とうぜん$\frac{5}{12}$=$\frac{1}{12}$+$\frac{4}{12}$ですが、これを約分してあげると、先ほどの花子さんの解答と同じになります。

太 郎:すると、$\frac{5}{12}$を単位分数の和で表す方法がもう1つ見つかりますね。

花 子:おもしろいですね。先生、もっと問題を出してください。

先 生:ならば次は$\frac{5}{9}$を単位分数の和で表してみてください。この分数は、単位分数2つの和では表せませんよ。

太 郎:では、何個の単位分数になるのですか。

先 生:そうですね、3個の単位分数と4個の単位分数で表してみましょう。ヒントとして、4個にするときは という単位分数を使うことを考えてください。

出題のポイント

単位分数についての説明は会話の中で出てきていますが、私立併願者なら一度は見たことがあるかもしれません。
特に何も考えずに文中でいう「強欲算法」を利用しても解けますが、誘導に乗って約数の性質から解くほうが楽です。その際に通分して分母を大きくしてから考える、というのが初見では思いつかないかもしれません。

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