時計の針と公倍数

問題

花子さん太郎君は、太郎君のおじさんの家に遊びに行きました。おじさんは時計屋さんで、時計の修理や製作をしています。

花 子:太郎君のおじさんの家には、時計がたくさんあるのね。

太 郎:そうなんだ。おじさんが仕事で作った時計や、練習で作った時計を持って帰ってくるから、家中にたくさんあるんだ。

花 子:学校の教室にあるような、針で時間を表すアナログ時計のほうが、数字で時間を表すデジタル時計よりも多いのね。

太 郎:針の位置で時間を表せるのっておもしろいよね。進む速度がちがう針を組み合わせて、時間をあらわすことができるのは、すばらしい発明だよ。

花 子:1時間で長針は360度、短針は30度動くのね。

太 郎:1時間は60分だから、長針は1分で6度動いていることになるね。

花 子:なるほど、時間の進みを針の角度で表しているのね。時間がわかれば、実際に時計を見なくても、それぞれの針が動いた角度がわかるんだ。

太 郎:そうだね。2本の針の間の角度も。時間がわかれば実際に分度器で測らなくても計算して出すことができるよ。

花 子:もう遊びに来てから20分たっているから、針の角度は何度になるのかな。

 〔問題1〕
太郎君と花子さんがおじさんの家に着いたのは、正午です。今、遊びに来てから20分が経過しました。時計の長針と短針が作る角は何度か求めなさい。ただし、「長針と短針が作る角」とは、2つある角のうち、小さい方の角を表しています。

太郎君と花子さんが遊んでいると、おじさんが帰ってきました。 

太 郎:おじさん、こんにちは。おじゃましています。      

おじさんおお、太郎君、花子さん、こんにちは。今日は、二人に面白いものをもってきたんだよ。ほら、これを見てごらん。

花 子:これは時計かな。でも、文字盤が2つあるね。

太 郎:針が1本ずつしかないし、文字盤の数字も4個と3個だよ。おじさん、これは何ですか。

おじさんこれは、1時から12時までを表すことができる時計だよ。午前0時には、どちらの文字盤も針は真上の数字を指していて、それから1時間たつごとに、それぞれ時計回りに次の数字の位置まで進んでいくんだよ。

花 子:なるほど、左の時計は4時間で針が1周して、右の時計は3時間で1周するのね。1時だと、左の文字盤の針が指す数字は1で、右の文字盤が指す数字は1だけど、4時だと左の文字盤の針が4を指し、右の文字盤の針が1を指すのか、これはおもしろいね。

太 郎:この時計は、1時から12時まで、12種類を違う数字の組み合わせで表すことがで  きるのか。午前と午後の違いはわからないけど、それは普通のアナログ時計も同じだね。 

おじさんそうだよ。では、こちらはどうかな。   

花 子:これもさっきの時計と似ているね。でも、文字盤が違うね。

太 郎:これだとうまく時刻を表せない気がするな。この文字盤の組み合わせだと、1時から12時の間で考えても、可能性がいくつかあって何時なのかよくわからないね。

おじさん二人ともよく理解しているね。この2つの文字盤で1時から24時までを表そうとすると、さらにいくつも可能性が出てきてしまうんだ。

〔問題2〕
下線部に「
この2つの文字盤で1時から24時までを表そうとすると、さらにいくつも可能性が出てきてしまう」とありますが、図2の時計Bの針がどちらも1を指している場合、その時刻には何時の可能性があるか、1時から24時までの中からすべて答えなさい。ただし、午前0時には、どちらの文字盤も針は真上の数字を刺しているものとします。

おじさんこれらの時計は、私が作ったんだよ。「富士時計」と呼んでいるんだ。

太 郎:慣れるまでは何時か考えるのに少し手間がかかるけど、ルールがわかればおもしろいね。

花 子:私も富士時計を作ってみたいな。

おじさん二人がそういうと思って、今日は材料と道具も持って帰ってきたんだ。文字盤の数も増やせるし、1分で時計回りに次の数字の位置まで進む針を使うこともできるよ。

太 郎:おもしろそうだね、作ってみようよ。

〔問題3〕
太郎君と花子さんの二人は話し合いの結果、文字盤を3つ使い、「時間」ではなく「分」を知ることができる富士時計をつくることにしました。以下のルールに従って解答欄の富士時計の文字盤に整数を書き込み、あなたが考えた富士時計を作りなさい。また、あなたが考えた富士時計で「13分」を表す場合、それぞれの時計の針はそれぞれ文字盤のどの整数を指しているか、解答欄の富士時計の文字盤に書き込みなさい。

〜ルール〜
◎この富士時計の針は、時計回りに1分で次の整数の位置まで進む
◎スタートの時点で、3つの文字盤の針は真上を指しており、次に3つの文字盤の針が同時に真上を指すのは、60分後である。
◎文字盤の真上の□には、その文字盤で使う整数のうち、最大のものが入る
◎文字盤の整数は、小さい順に時計回りに並ぶ
◎文字盤の真上に使える整数は2から11までとする

出題のポイント

(1)は時計の針が作る角度についての問題、私立中受験の算数では「時計算」とよばれる問題です。
時計の長針・短針が1分間に動く角度が与えられていますので、正午の状態をイメージしてから、20分ずつ動かすだけです。
5.5という数字を出すまでもないでしょう。
(2)は3時間で1周する文字盤と2時間で1周する文字盤を組み合わせた時計で時間を表します。周期算と捉えることもできますが、計算せずに条件通りに書き出していっても1分とかからないでしょう。
すべて書かなくとも、公倍数の6時間で元の状態に戻ると考えればOKです。(3)は(2)で公倍数に気がつくかどうかです。徒手空拳だとちょっと厳しいかもしれません。

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時計の針と公倍数

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