うるう年の計算・整数の性質

1. 問題
2. 出題のポイント
3. PDFファイル
4. プリントのダウンロード

問題

花子さん、太郎君、先生の3人が教室で話をしています。
太　郎：1年が365日でない年があることを知っているかな。
花　子：知っているわ。うるう年といって、その年は366日あるのよね。いつもの年にはないはずの2月29日があるのよ。
太　郎：2020年に東京で行われるオリンピック・パラリンピックの年もうるう年だね。

　〔問題1〕 東京オリンピック・パラリンピックが行われる2020年の2020のように、千の位と十の位が等しく、百の位と一の位が等しい4桁の数を考えます。たとえば、他には4343や1919などがあります。このような数のうち、6の倍数を3つ答えなさい。

太　郎：でも、どうしてうるう年は1年の日数が1日多いのかな。
花　子：先生、なぜうるう年があるのですか。
先　生：地球は太陽の周りをほぼ1年かけて1周しています。この時間は実際には約365.24日なので、1年を365日とするとずれが生じてしまうのです。そこで、うるう年でずれを調整しているのです。
太　郎：どういうことですか。よくわかりません。
先　生：地球が太陽の周りを1周する時間を365.24日として計算してみましょう。地球が太陽の周りを1周するのにかかる時間から、1年を365日とした場合のずれを計算すると、 365.24日−365日ー0.24日 となり、毎年0.24日ずつずれが生じます。
太　郎：ということは、4年で 0.24日×4＝0.96日 となるから、約1日ずれますね。それで4年に1度うるう年を定めて1日増やす必要がありますね。
花　子：ちょっと待って。うるう年を単純に4年に1度とするだけでは、まだ少しずれが生じないかしら。
太　郎：どういうことかな。
花　子：4年に1度うるう年を定めると、0.96日のずれを1日増やして調整することになるけど、それでは4年で 1日−0.96日＝0.04日 のずれが生じてしまうことになるわ。
太　郎：それくらい問題ないよ。
花　子：そんなことないわよ。だって100年たつと、25回うるう年があるので 0.04日×25＝1日 となって、今度は逆に1日多くなってしまうわ。
太　郎：一体どうしたらいいのかな。先生、教えてください。
先　生：二人とも、なかなかよいところに気がつきましたね。確かに、4年に1度うるう年を定めるだけでは逆に1日余分にずれてしまいます。そこで今度は100年ごとに1度だけ、うるう年をやめればよいのです。そうすればずれを調整できます。
太　郎：なるほど、そうすればいいですね。
花　子：うるう年の定めかたはおもしろいわね。先生、うるう年の問題を何か出してくれませんか。
先　生：では、1日の時間が地球と同じで、太陽の周りを1周するのに2020.3日かかる星があるとします。この星の1年を2020日と定めると、太陽の周りを1周するのにかかる時間と、2020日と定めた1年との間にずれが生じますね。このずれを調整するためにどのようにうるう年を定めればよいでしょうか。

　〔問題2〕 この星とありますが、この星が太陽の周りを1周するのにかかる時間と、2020日と定めた1年との間に生じるずれを調整するためには、どのようにうるう年を定めればよいですか。地球のうるう年の例を参考にして具体的に説明しなさい。ただし、うるう年にする年は1年を2021日とします。

太　郎：太陽の周りを1周するのにかかる時間と、定めた1年との間にずれがあると、うるう年が必要になるのですね。実際の星でも、太陽の周りを1周するのにかかる時間は、星によって違いますよね。
先　生：そうですね。それでは火星について考えてみましょうか。地球の1日、すなわち太陽が真南に来て、その次に再び真南に来るまでの時間は24時間です。これに対し、火星の1日は地球の時間で約24時間40分、火星が太陽の周りを1周するのに地球の時間で約687日かかります。では、火星が太陽の周りを1周するのにかかる時間について計算してみましょう。
　〔問題3〕 火星の1日は地球の時間で約24時間40分、火星が太陽の周りを1周するのに地球の時間で約687日かかるとします。このとき、火星が太陽の周りを1周するのに、火星の1日で数えると何日になるか、式を書いて答えを求めなさい。ただし、答えは小数第3位を四捨五入して、小数第2位までの概数で表しなさい。

出題のポイント

（1）は整数の性質、6の倍数を作りますが適当にそれっぽい数で試行錯誤すればすぐに解答が導けるでしょう。
（2）はうるう年の設定です。うるう年を2021日とする、の条件があるので誤差を1日減らすことはできません。誤差が1日を超えないように設定しましょう。
（3）は都立型では珍しい、分数小数混合計算です。一応、分単位で計算すれば小数だけでも計算できますが、「40分」を見た瞬間に分数にすることを思いつくようでなければ、私立型受験生のスピードに太刀打ちできないでしょう。