割合計算とグラフの読み取り
問題
花子さんと太郎君と先生は、川にいる魚のアユについて教室で話をしています。
太 郎:去年の春に、川をさかのぼっているアユを見かけたよ。
花 子:わたしも水族館で見たことがあるわ。アユはどのような生活をしている魚なのかしら。
先 生:アユという魚は、海と川を行き来する生活をしていて、秋に川の下流で卵からかえり、海で生活をして、春に川をさかのぼります。川の中流に来ると、岩の表面に生えている藻を削り取って食べます。その後また産卵のために川を下り、一生を終えるのです。
太 郎:それでは、僕が見た魚は、海から川へ戻ってきたアユですね。アユは群れを作って泳いでいたけれど、中には他のアユを追い出して、ある一定の場所を独占しているものもいました。種子をいろいろな温度で一定に保って、発芽する割合を調べればいいわけですね。
花 子:なぜ、アユの中には場所を独占するものがいるのですか。
先 生:アユは海から川へさかのぼってきたときに、えさである藻が多く生えている場所を確保するために、一定の場所を独占することがあります。独占している一定の場所を「なわばり」といい、このアユを「なわばりアユ」とよびます。「なわばりアユ」は独占した場所に入ってくる他のアユを攻撃して、追い出します。
花 子:「なわばりアユ」以外のアユもいるのですか。
先 生:太郎君が川で見たように、縄張りを作らずに集まって泳いでいるアユもいます。このアユを「群れアユ」とよびます。
太 郎:「なわばりアユ」と「群れアユ」の割合は、どちらが多いのかな。
先 生:〔表1〕は、ある川の一部をA、B、C、Dの地域に分けて、それぞれの地域のアユの数と「なわばりアユ」と「群れアユ」の割合を調べたものです。
花 子:A、B、C、Dの地域のアユの数を合わせると「なわばりアユ」と「群れアユ」のどちらのアユの数が多いのかしら。
〔問題1〕〔表1〕から、A〜Dを合わせた地域におけるアユの数の合計に対する、「なわばりアユ」と「群れアユ」それぞれの割合を求め。百分率で答えなさい。なお、答えは小数第1位を四捨五入すること。また、計算式や求め方を説明しなさい。
太 郎:なぜ、「なわばりアユ」と「群れアユ」がいるのですか。
先 生:アユは、なわばりを作った時にエサから得られるエネルギーとなわばりを守るために必要なエネルギーのバランスによって、なわばりを作ったり、群れたりするからです。ここでいうエネルギーというのは、生物が活動するもととなるもので、エサから得ることができます。〔図1〕を見てください。①は、なわばりの大きさと、なわばりを守るために必要なエネルギーの量の関係を表したものです。「J」とは、エネルギーの単位で「ジュール」と読みます。
花 子:なわばりが大きくなると、なわばりを守るために必要なエネルギーが増えていますね。
先 生:そのとおりです。なわばりが大きくなると、そこに侵入してくるほかのアユの数が増えるから、それを追い出すために必要なエネルギーが増えていきます。
太 郎:②は何を表しているのですか。
先 生:②は、なわばりの大きさと、なわばりでエサから得られるエネルギーの量の関係を表したものです。
太 郎:なわばりが大きくなると、たくさんのエサを得ることができるから、エサから得られるエネルギーも増えていくのですね。
花 子:でも、なわばりが大きくなっていくと、エサから得られるエネルギーの増え方が少なくなっているわね。
〔問題2〕〔図1〕のア〜エのうち、「なわばりアユ」がもっとも効率よくエネルギーを得られると考えられるなわばりの大きさはどれですか。ア〜エの中から1つを選び、その理由を書きなさい。
出題のポイント
文章内容から理科的領域に分類しましたが、実質は算数です。
問題文のテーマが受検生にとっては初見なうえ、かなりの長文ですがたいした話は書いてありません。さきに設問をチェックすれば問題1はただの割合計算、問題2はグラフの読み取りであることがわかりますので、必要な部分だけを読めば解くことができます。
このような都立型の設問では時間を無駄にロスしないことが大事ですので、テンポよく解けるように練習しておきましょう。
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